サンゴ礁と白い砂浜に縁取られ、照葉樹が深い緑の陰を落とす亜熱帯の島々。そんな美しい島々が弧状に連なってできた琉球列島には、複雑な地史や亜熱帯海洋性の特異な気候を反映し、陸域から海域にかけて実に多様な生物が暮らしています。その中には、琉球列島の固有種や、日本ではここでしか見られない熱帯系の種などが数多く含まれており、生物多様性の極めて高い地域として知られています。
近年、我々人類の営みは、このかけがえのない琉球列島の自然に大きな影響を与え、生物を取り巻く環境を急速に変化させてきました。「自然との共生」が人類共通の課題としてクローズアップされる今日、琉球列島の自然環境をどのようにして守り、どのように共存してゆけばよいのか、我々が考えなければならない課題は数多く存在します。こうした状況の中、生物学に対する社会の関心と期待は急速に高まってきています。
我々生物系では、地域・国際社会で生物学が果たすべき役割を視野に入れながら、琉球列島の豊かな自然環境が持つ特色を最大限に生かし、多様な生命現象とその根底にある基本原理の理解を目指した教育・研究をおこなっていきます。
生物系では、生物学の基礎的知識を体系的に習得してもらうことを目標に、生物学の主要な学問分野に対応した教育をおこないます。また、生物学の先端的な知見に触れる機会を積極的に設けるとともに、学生の多様な要求・目的意識に対応した個性豊かな教育を目指します。特に、生物の営みに対する理解を深め、自然環境の重要性に対する認識を高めてもらうことを目標に、学内外の機関と連携を取りながら、琉球列島の恵まれた自然環境を実体験の場として活用した教育を展開します。こうした教育を実践することにより、生物学的素養を基礎に、地域から国際社会までの様々な分野において積極的に個性を発揮できる生物学徒を育成します。
生物系では、琉球列島の自然環境を最大限に生かしながら、亜熱帯照葉樹林に覆われる陸域から、河川、マングローブ林・干潟を経て、サンゴ礁が広がる海域まで、広範なフィールドに暮らす個々の生物の営みを明らかにすると共に、これらの環境を連続した一つのサンゴ礁・島嶼生態系として捉え、その包括的な理解と保全を目指した研究を推進します。また、生物多様性と生命現象の基本原理解明に向け、生態系、群集、種、個体、細胞、遺伝子という、マクロからミクロの視点までを含む多角的・総合的な研究を展開します。
琉球列島の高い生物多様性を基盤として教育・研究を推進する我々は、社会に向かって自然環境と生物多様性の重要性を提言・啓蒙してゆく責任を負っています。生物系では、こうした社会的責任を念頭におきながら、学会活動や出版物などによる研究情報の公開を進める他、生物学の立場から行政に対する提言等をおこないます。また、生物多様性維持についての倫理観をすべての世代に共有してもらえるよう、講演・公開講座などを通した社会教育を積極的に推進します。
生物系では、上記の理念・目標のもと、次のような人を求めています。
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