生物学を含む自然科学系科目は基本となるが、専門での学びへの卑近的応用を意図せずに人文

頭足類（イカ、タコ）を対象に生命の妙を読み解く頭足類学という新たな学問の創成を志向する。その為、頭足類が系統的に特異な位置にあり、かつ突出した知性を有する点に注目した行動研究とその手法的基礎となる飼育研究、また、海洋に巧みに適応した頭足類の生活史研究を行う。手法としては飼育実験を重要なツールとするが、必要に応じて様々にアプローチを工夫する。

① 頭足類の行動学：無脊椎動物中最大の脳という、発達した知性基盤をもつ頭足類が、この特性をどのように適応的に用いているのか、彼らは如何なる社会や個体間関係を築いているのかを明らかにする（社会構造とコミュニケーションの発達過程；感覚情報処理の仕組みと脳発達；認知行動の種間変異と系統関係など）。

② 頭足類の生活史：琉球列島周辺に暮らす様々な頭足類について、特に初期生残や繁殖の諸側面を明らかにし熱帯海域における頭足類の特徴を描く（琉球列島アオリイカ類の生活史と分化過程；初期生残と環境要因との関係；浅海性タコ類の繁殖特性など）。

③ 頭足類の飼育技術開発：安定したモデル動物の確保、および水産増養殖への基礎として知見の乏しい熱帯性頭足類の累代飼育に関わる飼育法の検討を行う（初期死亡低減の検討、新規餌料の探索、タコ類の孵化飼育など）。

学ぶ者としての礼をわきまえた人。