2015年9月10日
生物系の中村宗一教授が,平成27年度日本植物形態学会賞を受賞しました。
日本植物形態学会は,植物形態学の発展に寄与した研究者を賞賛する目的で,「日本植物形態学会賞」をはじめとする各賞を設けています。中でも「日本植物形態学会賞」は,植物形態学の進歩に長年寄与し,植物科学の発展に貢献した研究者に与えられる,最も栄誉ある賞です。中村教授の「クラミドモナスにおけるミトコンドリアの父性遺伝,及びオルガネラの形態変化」に関する長年の研究が高く評価されての受賞となりました。
リンク(日本植物形態学会ウェブサイト)
平成27年度日本植物形態学会3賞 受賞者決定のお知らせ
受賞式(2015年9月5日,新潟・朱鷺メッセ)
8月14日から17日にマレーシアで行われた The 3rd International Southeast Asian Bat Conference において、理工学研究科博士後期課程の小林峻さんが Best Poster Presentation を受賞しました。
本 Conference は4年に1度、コウモリ類の多様性のホットスポットである東南アジアを中心とした地域での研究成果を発表・議論するものです。アジアの国々ばかりでなく、ヨーロッパやアメリカからも多くのコウモリ研究者が参加し、生態、分類、形態、病気、保全など多岐にわたる発表がなされました。小林さんは、九州、琉球列島、台湾における送粉生態の地域変異を扱った研究でポスター発表を行い、高い評価を受けました。
左から2人目が今回受賞した小林峻さん,3人目が指導教員の伊澤雅子教授(生物系)
2015年2月4日
概要
琉球列島沿岸より、スナギンチャク(刺胞動物門花虫綱)の新種2種が発見された。2種共にイワスナギンチャク属に分類され、シマテヤミイワスナギンチャク(学名 Palythoa mizigama)、シロテヤミイワスナギンチャク(学名 Palythoa umbrosa)とそれぞれ命名された。両種は浅海の洞窟やリーフの窪みといった薄暗い環境に生息する。イワスナギンチャク類はイシサンゴ類と同じように褐虫藻(共生性の微細藻類)を体内に保持し、光合成およびプランクトン摂食によりエネルギーを得る。しかし今回発見された2種は褐虫藻を持たないという点でユニークである。両種の形態は非常によく似ており、発見当初は同一種と思われていた。しかし、DNAを用いた分子系統解析により別種であることが明らかとなった。以下に詳細を記す。
シマテヤミイワスナギンチャク
撮影地:嘉手納町水釜
シロテヤミイワスナギンチャク
実体顕微鏡下にて撮影
琉球列島沿岸からスナギンチャク類の新種2種が報告された。発見者は琉球大学理工学研究科の伊礼由佳、ライマージェイムズ准教授、海洋研究開発機構のシニゲーフレデリック博士ら。スナギンチャクはサンゴやイソギンチャクに近縁なグループで、“スナギンチャク”の名は、体に砂粒を含む事に由来する。今回記載された2種は、イワスナギンチャク属に分類された。
イワスナギンチャク類は主にサンゴ礁域に生息し、プランクトン摂食および褐虫藻(体内共生する微細藻類)が光合成を行う事により栄養を得る。しかし今回発見された2種は洞窟やリーフの窪みなどといった薄暗い環境に生息し、褐虫藻を保持しない。これでは光合成を行うことはできず、この2種は水中に漂う懸濁物やプランクトンを摂取することで全エネルギーを賄っていると考えられる。このように褐虫藻を持たないイワスナギンチャク類は非常に珍しく、世界中でこれまでに1例しか報告がない。
今回発見された2種は、触手の色にちなみ、シマテヤミイワスナギンチャク(学名 Palythoa mizigama)、シロテヤミイワスナギンチャク(学名 Palythoa umbrosa)とそれぞれ命名された。シマテヤミイワスナギンチャクの種小名(学名の一部)である”mizigama(ミジガマ)”は、採集地の一つ、嘉手納町の水釜海岸を意味すると共に、水中の“ガマ”(ウチナーグチで“洞窟”)に生息するという意が込められている。この2種は分布域に違いがみられ、シマテヤミイワスナギンチャクは沖縄島、渡嘉敷島、八重山諸島、台湾、ニューカレドニアといった幅広い地域に生息し、シロテヤミイワスナギンチャクは八重山諸島と台湾でのみ生息が確認されている。
両種は共に体長 5-10 mm 程度で体色はベージュや象牙色。非常に良く似た形態をしており、発見当初は同一種であると思われていた。両種は触手の色彩により識別可能で、シマテヤミイワスナギンチャクの触手は白黒の縞模様、シロテヤミイワスナギンチャクの触手は白色をしている。核DNAとミトコンドリアDNAを用いた分子系統解析の結果でも、両者が別種であることが示された。両種は薄暗い環境を好み、また、日中は触手を閉じており非常に目立ちにくい。このような条件が発見を遅らせたのであろう。近年、琉球列島から新種の発見が相次いでいるが、 特に洞窟やリーフの間隙といった目の届きにくい環境には、まだまだ多くの未発見種が潜んでいると期待される。2種の記載論文は、1月28日発行の国際学術誌 ZooKeys に掲載された。
原著論文タイトル
Descriptions of two azooxanthellate Palythoa (Subclass Hexacorallia, Order Zoantharia) species from the Ryukyu Archipelago, southern Japan
問い合わせ先
伊礼由佳
琉球大学理工学研究科海洋自然科学専攻
〒903-0213 沖縄県西原町千原1 琉球大学理学部 354室
Tel: +1-847-932-9396(アメリカ)
Email: yuka.irei.mugi[at]gmail.com
ライマージェイムズ
琉球大学理学部海洋自然科学科 生物系・准教授
〒903-0213 沖縄県西原町千原1 琉球大学理学部 353室
Tel: 098-895-8542, 090-7294-9279
E-mail: jreimer[at]sci.u-ryukyu.ac.jp
2013年10月4日
沖縄工業高等専門学校(磯村 尚子 助教)と琉球大学理学部生物系(竹内 悠記 研究員、山内 千裕 大学院生、竹村 明洋 教授)のグループは、神経伝達物質として知られるドーパミンが、沖縄に生息するサンゴの一種であり、満月付近で一斉産卵を行うウスエダミドリイシ(Acropora tenuis)の産卵を抑制することを発見しました。この発見から、サンゴの産卵を制御する仕組みの一部が世界で初めて明らかとなりました。
本研究成果は、Nature 姉妹誌 Scientific Reports に掲載されました。
以下のサイトで論文要旨(英語)が読めます。
http://www.nature.com/srep/2013/130912/srep02649/full/srep02649.html
また、ここから論文全文(英語)にアクセスできます。
日本語での詳しい解説は こちら(PDF) です。
2013年10月4日
理学部海洋自然科学科生物系4年次の福岡達樹さんが、台湾基隆市で開催された国際会議(9th International Conference on the Marine Biodiversity and Environmental Fisheries Science of the East China Sea:第9回東シナ海の海洋生物多様性と環境水産科学に関する国際会議)においてベストポスター賞を受賞しました。100件近いポスター発表の中で、5件のベストポスター賞が選ばれました。学部生でベストポスター賞を受賞したのは福岡さんだけでした。
福岡さんの研究は、沖縄沿岸サンゴ礁に生息しているルリスズメダイの繁殖適正水深が光と水圧によって決定されていることを、フィールド調査やホルモン測定などで調べたものであり、魚類の繁殖特性を環境受容から明らかにしたことが高く評価されました。卒業研究として取り組んでいる内容ですが、短期間で多くの研究成果を出したことは、福岡さんの研究に対する真摯な態度と熱意が結実したものであると思われます。
なお、この国際会議は、東シナ海を取り囲む琉球大学、長崎大学、済州大学(韓国)、上海海洋大学(中国)、台湾海洋大学(台湾)の間の共同研究に関する覚え書きに基づき、1997年から2年に一度各大学持ち回りで行われているものです。各大学の研究者と学生が東シナ海における海洋学と水産学に関する最新の研究成果を発表し、研究情報を共有しつつ、互恵の海として将来にわたり継続的な国際協力関係を構築することを目的としています。9回目となる今回の会議は基隆市(台湾)で開催されました。次回は、2015年に済州市(韓国)で開催されます。
2012年6月9日
生物系の 大瀧 丈二 准教授 と同研究室の 大野 良和 さん(現・海洋自然科学専攻M1)による
魚類の眼状紋色模様の形成機構に関する論文が
Nature 姉妹誌 Scientific Reports に掲載され、
「注目の論文」に選定されました。
以下のサイトで日本語のアブストラクト(論文要旨)が読めます。
http://www.natureasia.com/japan/srep/highlights/srep00290.php
また、ここから論文全文(英語)にアクセスできます。